コミッショニングレターVol.23 No.2(2月号)
2025/02/07掲載
建物所有者向けCxガイドラインに関するシンポジウム
建築設備コミッショニング協会では国土交通省のご支援・ご協力のもと、建物所有者の方々にCxの有用性を理解していただき、Cxプロセスを既存建物に活用していただくためのガイドラインを作成しました。本シンポジウムではそのガイドラインの概要をはじめ、既存建物Cxプロセス活用の事例についても紹介いたします。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。
開催日程 :2025年3月5日(水)
開催場所 :山上会館(東京大学本郷キャンパス内)
東京都文京区本郷7-3-1
定員 :現地(100名)+ Web(Zoom)併用
参加費 :会員 シンポジウム 無料 (交流会:6,000円(現地決済、現金のみ))
非会員 シンポジウム 無料 (交流会:6,000円(現地決済、現金のみ))
主催 :特定非営利活動法人 建築設備コミッショニング協会(BSCA)
共催 :国土交通省
プログラム
14:00~14:05 開会の辞 柳原隆司(BSCA理事長)
14:05~14:10 ご挨拶 佐々木雅也(国土交通省住宅局 参事官付建築環境推進官)
14:10~14:15 趣旨説明
赤司泰義(BSCA副理事長、東京大学教授)
14:15~14:45 既存建物の省エネルギー・省CO2対策に係る建物所有者のニーズ
浅利直記(森ビル株式会社)
14:45~15:15 Cx事例調査とCxプロセス適用のポテンシャル分析
百田真史(東京電機大学教授)
15:15~15:45 Cxガイドラインについて
奥宮正哉(BSCA副理事長、名古屋大学名誉教授
15:45~16:00 休憩
16:00~16:15 Cx事例1:東急電鉄駒沢大学駅熱源空調改修工事Cx
阿津英明(東急電鉄株式会社)
16:15~16:30 Cx事例2:髙島屋グループの既存Cx
清沢知成(東神開発株式会社)
16:30~16:45 Cx事例3:(仮)大規模建物の既存Cx
北村義雄(NTTアーバンソリューションズ株式会社)
16:45~17:15 質疑応答・ディスカッション
コーディネーター:赤司泰義
パネラー:佐々木雅也、講演者6名
17:15~17:20 閉会の辞
高瀬知章
申し込みは下記HPよりお願いいたします。
2024年度 BSCAシンポジウムin中部 開催報告


2025年1月24日(金)に2024年度シンポジウムin中部「-コミッショニング・プロセスの適用による運用エネルギーの適正化-」が、会場参加とオンライン参加のハイブリッドで開催された。参加者は講師3名、パネラーと司会者で6名、現地参加45名、オンライン参加者30名の合計75名だった。
協会理事の田上より挨拶とシンポジウムの主旨説明があり、前半では基調講演が行われ、休憩を挟み後半は、新築公共建築のCx事例と、オーナーの視点から見るCxの進め方の2つの講演が行われた。
最後に、シンポジウムの2名の講演者と施工者役割として田上、公共建築に携わる立場として半田市の青木賢治氏を迎え計4名のパネリストとし、山羽教授の司会により参加者からの質疑応答に続きパネルディスカッションが行われた。会場やWeb参加者からの質問が多く、回答時間に多くの時間を費やし、メインのパネルディスカッションでは、もう少し討議時間が欲しいと感じたが、会場の時間制限も有り終了した。シンポジウム全体の時間配分については、次年度の検討課題とした。
■基調講演:「トータル&ライフサイクルでの建築コミッショニングの可能性」(太幡英亮教授:名古屋市立大学大学院芸術工学研究科 )
「名古屋大学研究所共同館(CKKプロジェクト)」のCxを対象に、大学施設としては初めての企画、設計、施工、運用に至るまでの各フェーズごとにCxで用いた文書を用いながら、Cxプロセスを解り易く解説された。最後に以下の3つの提言で纏められた。この建物では設備のみではなく、意匠面でのCxも行われた。
①各フェーズでの多くの登場人物の立場と施工分野をつなぐ役割がCxである。②参加型の建築にする上で、Cxは発注者及び各主体が設計の全体をその意図と期待される効果を合わせて常に俯瞰していくためにある。③Cxは成果を活用するプラットフォームとし提供される。
■「新築公共建築のCx事例~設計・機能性能確認および運用フェーズ~」(横山大毅氏:((株)久米設計)
「愛知県環境調査センター・愛知県衛生研究所」のZEBの実現のために愛知県がCxプロセスを導入した事例。設計者、施工者、建物管理者、運用者を含めた各関係者が各自の役割を適切に果たすためのCxを実施し、結果として計算値ではNearly ZEBを達成し、更なる運用段階で「net ZEB」を達成した。
愛知県が発行したOPRを基に、「Cx計画書」を作成し、各フェーズではCx固有の文書である「設計趣旨文書」「システム制御操作説明書」「システム運用マニュアル」「施設運用マニュアル」等を作成しつつ、公共施設に於いてCxの導入の重要性と意義の大切さを発注者及び運用時の関係者に説いた。またカーボンニュートラル達成に向けCxの導入が重要である事も提言された。
■「建物オーナーの視点で見るコミッショニングの進め方とその価値を伝えるアプローチ」(松下直幹氏:(株)コミッショニング企画)
以下の4つの項目に沿って、建物オーナー(Cx発注者)の視点でこれまでのプロジェクト経験から講演された。
1.Cxを説明するためのポイント
・Cxはプロセスであり、オーナーが責任を持つ。
・CxFはオーナー側に立ったコンサルティング役である。
2.Cxの始め方・進め方(Cxを理解しながら進める方法)
・信頼できるパートナーとしてCxFを選定する
・CxF選定後は、オーナーとCxFが連携してCxを推進する。
・CxFは技術面だけでなく、費用面についても適切なアドバイスを行う必要がある。
・ステップバイステップで進める:途中で中止することも可能、それでも一定の成果が得られる。
・既存Cxを通じて、Cxの本質的な意義を理解する
3.Cxの本丸:新築Cxへの展開
・Cxの最終目標は、新築Cxにおける全フェーズを通じたトータルCxである。
・トータルCxは、大きなメリットをもたらすことが、既存Cxの経験を通じて理解される。
4. Cxのメリットを社内展開するためのサポート
・CxFは、Cxのメリットを社内で展開し、理解を促進するためのサポートを行う。
■パネルディスカッションの討議の要点
Cxの費用について、費用は特記仕様書で内容を明確にすることで関係者間の理解が容易になるが、すべてを盛り込むと膨大な金額になるため配慮が必要。これまでは、プロポーザルでエネルギーマネジメントの提案等として含まれる場合や、必要な費用を別に確保する場合があった。Cxは、時間がかかるが良い建物ができれば相殺されるし、フロントローディングでトータルの時間は削減される可能性がある。文書化することは、要求事項を明確化でき、自動制御動作説明書等を作成すると、内容が明確になり関係者で共有できる。Cx計画書および特記仕様書で役割分担を明確にしておくことが、設計者、Cx責任者の指示を混乱させないために重要である。数値化できない目標も、行動観察など最新の研究を活用して明確化できる。Cx普及のためには、Cxの内容とその効果を広く知ってもらう必要がある。
活動実績 活動予定 他
◆協会活動実績 (2025/1 )
2025年1月24日 2024年度BSCAシンポジウムin中部
◆協会活動予定 (2025/2~2025/3)
2025年2月6日 2024年度BSCAシンポジウムin関西
2025年2月25日 BSCA第6回企画運営委員会
2025年2月28日 CxPE座談会(関西)
2025年3月5日 建物所有者向けCxガイドラインに関するシンポジウム
◆編集者より
2025年1月20日(火)に第47代アメリカ大統領としてトランプ氏が宣誓就任した。就任直後から多くの「大統領令」に署名し、前政権の政策を覆しながら自身の公約実現に突き進み始めた。その中で驚異的でショックだったのは、パリ協定からの再離脱宣言。1期目の2020年に「パリ協定」を離脱したあとバイデン政権のもとで再び加入し、今回、再びの離脱宣言。正式な離脱は2026年1月になるとの事。トランプ氏は「(化石燃料を)掘って掘って、掘りまくれ!」と呼びかけ、再生可能エネルギーの導入に前向きだったバイデン前政権の政策を転換し、化石燃料の生産を推進する意向を示した。
日本政府は、2050年カーボンニュートラルを達成すべく、これまで省エネはもちろん、ZEB/ZEHの更なる普及に向けこれまで着実に進めてきた。「何を言っているんだ!」と思いましたが、日本はこれまで通り、Cxを活用し、カーボンニュートラル達成のために一歩一歩進めるべきですよね。。。。
◆編集長より
先日ガソリンスタンドで車のタイヤの空気圧を測ってもらいました。適正圧力よりかなり低かったので、空気を入れて適正圧力にしました。すると、滑らかに加速し、惰性での走行距離が伸びました。(あくまでも体感です)ネットで調べると空気圧が低いと燃費が悪化するという記述が多くみられました。また、車に乗るときはACボタン(空調用コンプレッサーの運転ボタン)を入れっぱなしで、暖房時もONのままでした。試しに信号待ちの時に、ACボタンをOFFにするとエンジンの回転数が少し下がりました。ガソリン車はエンジン排熱で暖房するので冬季にはACボタンは無関係かと思っていましたが、実は関係があるようです。身近には色々な省エネネタがあることを実感しました。
◆企画制作
編集者:田上(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)
編集長:大石(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)
※本誌に掲載した著作物の著作権は、特定非営利活動法人建築設備コミッショニング協会が所有します。許可無く複写転用することをお断りいたします。
お問合せメール:bsca_mail@bsca.or.jp