コミッショニングレターVol.23 No.1(1月号)
2025/01/21掲載
年頭のご挨拶
BSCA 理事長 柳原 隆司
新年明けましておめでとうございます。
2050年のゼロエミッション化に向け建築設備の企画・設計・施工・運転管理の各段階を通してコミッショニング過程の一般化、常態化に向け活動してまいりたいと考えております。
国土交通省もコミッショニング過程を活用して既存建物の省エネ・脱炭素化を進展させて行こうと考えておられるようです。
50年ほど前、日本の家電製品や自動車などは社員全員が一丸となってQCサイクルを回し、世界中からジャパン・アズ・ナンバーワンと呼ばれるようになりました。
一品生産の建築設備生産においても、そのプロジェクト関係者がOPR(施主の目的)に沿って一丸となり、コミッショニング過程を実践することでPDCAサイクルを回し、その機能・性能をスパイラルアップすることにより、この分野でも、ジャパン・アズ・ナンバーワンを目指そうではありませんか。
2024年度BSCAシンポジウムin中部
BSCA では 2025年1月24日(金)に「BSCA シンポジウム in 中部 -コミッショニング・プロセスの適用による運用エネルギーの適正化-」を開催いたします。
今回のシンポジウムでは、基調講演、実際にコミッショニング・プロセスを進めた事例についての講演、本協会の専門家や実務経験者の方々によるパネルディスカッションによって、コミッショニングのプロセスにおいて「何を、何時、どのような手順で、誰が参加して行い、どのような文書を作成すべきか」を明確にすることを目的としています。コミッショニングの正しい普及のための知見を得る貴重な機会となればと思います。
開催日程:2025年1月24日(金)
シンポ13:30~16:40(受付12:30~)交流会 17:00~19:00
開催場所:ウインクあいち (愛知県名古屋市中村区名駅4丁目4-38)
定員 :75名(現地:25名、オンライン形式:50名、交流会:15名)
参加費(会員):正会員・賛助会員 3,000円 (交流会 5,000 円)
参加費(一般):5,000 円 学生無料 (交流会 5,000 円)
主催 特定非営利活動法人 建築設備コミッショニング協会(BSCA)
協賛 空気調和・衛生工学会中部支部、日本建築学会東海支部、建築設備技術者協会中部支部
プログラム
13:30~13:35 主旨説明 田上賢一(BSCA理事)
13:35~14:25 基調講演:「トータル&ライフサイクルでの建築コミッショニングの可能性」
太幡英亮(名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
14:25~14:35 休憩
14:35~15:10 講演1:「新築公共建築のCx事例~設計・機能性能確認および運用フェーズ~」
横山大毅((株)久米設計)
15:10~15:45 講演2:「建物オーナーの視点で見るコミッショニングの進め方とその価値を伝
えるアプローチ」
松下直幹((株)コミッショニング企画)
15:50~16:40 質疑応答・パネルディスカッション
司会:山羽 基(中部大学工学部建築学科)
申し込みは下記HPよりお願いいたします。
なお、現地参加者数が、定員に達しましたので、オンライン参加のみ受け付けております。
2024年度BSCAシンポジウム in 関西
BSCAでは2025年2月6日(木)に「BSCA シンポジウム in 関西 ~ コミッショニング事例紹介 ~」を開催いたします。
今回のシンポジウムでは、BSCA受託プロジェクトである東急電鉄地下駅のコミッショニングと、株式会社竹中工務店が推進し、Cx企画がサポートしている須磨水族園建替事業のコミッショニングの2つの事例を紹介します。
開催日程 :2025年2月6日(木)
開催場所 :電気倶楽部ホール
〒530-0004 大阪市北区堂島浜2丁目1番25号
定員 :現地(現地参加者:60名)+ Web(Zoom)併用(Web参加:100名)
参加費 :会員(賛助会員所属者も含む)5,000円 (交流会 6,000 円)
非会員10,000円 学生1,000円 (交流会 6,000 円)
主催 :特定非営利活動法人 建築設備コミッショニング協会(BSCA)
協賛(予定):(公社)空気調和・衛生工学会 、(一社)日本建築学会 、(一社)建築設備技術者協会
(一社)建築設備綜合協会 、(一財)ヒートポンプ・蓄熱センター 、(一社)日本ビルヂ
ング協会連合会 、(一社)ESCO推進協議会、(一社)関西ESCO協会 、建築エネル
ギー懇話会
プログラム
12:40~13:10 受付
13:10~13:15 趣旨説明
BSCA理事 株式会社コミッショニング企画 松下直幹
13:15~13:30 基調講演 建築物の省エネ性能基準の義務化について思うこと
吉田治典(京都大学名誉教授、前BSCA理事長)
13:30~14:45 Cx事例1:東急電鉄駒沢大学駅熱源空調改修工事コミッショニング
・プロジェクトの概要 阿津英明(東急電鉄株式会社)
・ホームの熱負荷軽減のための気流計画 立野岡誠(東急電鉄株式会社)
・試運転調整 西崎圭(高砂熱学工業株式会社)
・機能性能試験 西山満(建築設備コミッショニング協会)
・省エネと環境改善 - Before/After 吉田治典(京都大学名誉教授)
14:45~15:00 休憩
15:00~16:15 Cx事例2:須磨水族園建替プロジェクト コミッショニング
・プロジェクトの概要 前田龍紀(竹中工務店株式会社)
・設計主旨 原瀬拓也(竹中工務店株式会社)
・プロジェクトを支えた技術等
1) 自動制御技術 宮本大成(アズビル株式会社)
2) シミュレーション 矢島和樹(新菱冷熱工業株式会社)
3) 機能性能試験 福谷篤正(新菱冷熱工業株式会社)
4) コミッショニングが果たした役割 松下直幹(コミッショニング企画)
16:15~16:25 よいCxとは
~コミッショニング業務サポートの視点から~ 渡辺佳容子(Cx.さぽーと)
16:30~17:10 質疑応答・パネルディスカッション
申し込みは下記HPよりお願いいたします。
2024年度 BSCAシンポジウムin東京 開催報告
馳平心・高橋信博・伊藤英明
-コミッショニングの推進を目指して-
2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことが宣言され、省エネルギーを徹底し再生可能エネルギーを最大限活用することが示されました。カーボンニュートラルの実効ある実現に向けて、建築設備の性能に対するコミッショニングの重要性と必要性はますます高まってきています。そのような中、「BSCA シンポジウム in 東京 -コミッショニングの推進を目指して-」を2024 年12月12日(木)に開催し、会場参加40名、リモート参加31名の計71名(申込み時点)の参加者が講演に耳を傾けました。
■基調講演:環境クリエイター高砂熱学の挑戦
高砂熱学工業 経営企画部 担当課長 森田健
高砂熱学の歴史、最近の取組としての水素技術開発やこれからは従来の「つくる」「ためる」分野への取組に加えて「つかう」分野への拡大、そしてそれら3つを「つなぐ」EMS開発を目指すべき事業モデルと位置付けていること、その事例の1つとしての石狩厚田マイクログリッド事業の紹介がありました。後半では月面で活用できる水採取技術開発に関する内容等、タイトルの「挑戦」にふさわしい内容を紹介いただきました。質疑応答では月面技術における水素活用等に関するやりとりがなされました。
■講演1:麻布台ヒルズのエネルギー供給プラントにおけるコミッショニングについて
東京電力エナジーパートナー株式会社 法人営業部 黒﨑充能
2023年6月に竣工し、SHASE第1回コミッショニング賞を受賞した虎ノ門麻布台地区のエネルギー供給プラントにおける設備システムの概要として10,000m3を超える大規模蓄熱槽を活用した中温冷水(12℃送水)供給システムや大規模蓄熱槽のデマンドレスポンスへの活用、AI活用EMSの導入について紹介いただくと共に、企画・設計段階から施工、運用段階にわたってのコミッショニングの取組について紹介いただきました。質疑応答ではCGSシステムの導入経緯等に関するやりとりがなされました。
■講演2:四国地域の自治体施設におけるコミッショニング事例
四国電力株式会社 土木建築部 建築技術グループ 天野雄一郎
四国電力として2018年から収益化を目的として取り組んでいるコミッショニングビジネス(よんでんCxサービス、主に自治体に対して展開)についてその概要からこれまでに実施した多くの事例、そこから見えてきた課題と課題に対する現在の対応状況について紹介いただきました。また、これまでの取組状況を踏まえて現在はエネルギー密度が大きい病院等を中心に展開しているといった内容について紹介いただきました。質疑応答ではどのようにしてオーナー(自治体)よりコミッショニングを有償で発注頂けるようになったか、苦労した点についてやり取りがなされました。
■講演3:新菱冷熱工業イノベーションハブで開発した冷熱源システム
新菱冷熱工業株式会社 丸の内支社 技術一部 坂本裕
熱源側・負荷側共に低温冷水と高温冷水を直列配置する「3管式ダイナミックレンジ冷熱源システム」という新菱冷熱として新たに開発した冷熱源システムについてシステム概要を紹介いただくと共にその効率的な運用を実現するためのダイナミックレンジ制御とそのための「Excel連携最適制御システム」、その導入効果についてと今後の取組としてオートコミッショニングやオートチューニングを志向していることを紹介いただきました。質疑応答では「3管式ダイナミックレンジ冷熱源システム」の課題についてのやりとりがなされました。
シンポジウム後の技術交流会では講師の方々をはじめとした21名の方々が出席し、シンポジウムでの講演内容やコミッショニングに関する話で大変盛り上がり、非常に有意義なシンポジウムとなりました。
<シンポジウムスケジュール>
13:30~13:35 趣旨説明 BSCA理事長 柳原隆司
13:35~14:20 基調講演
「環境クリエイター高砂熱学の挑戦」
高砂熱学工業 経営企画部 担当課長 森田健
14:25~15:00 講演1
「麻布台ヒルズのエネルギー供給プラントにおけるコミッショニングについて」
東京電力エナジーパートナー株式会社 法人営業部 黒崎充能
15:10~15:45 講演2
「四国地域の自治体施設におけるコミッショニング事例」
四国電力株式会社 土木建築部 建築技術グループ 天野雄一朗
15:50~16:25 講演3
「新菱冷熱工業イノベーションハブで開発した冷熱源システム」
新菱冷熱工業株式会社 丸の内支社 技術一部 坂本裕
16:25~16:40 『CxTE実務講習』(新企画)のご案内
BSCA理事(講習担当) 上谷勝洋
活動実績 活動予定 他
◆協会活動実績 (2024/12 )
2024年12月12日 2024年度BSCAシンポジウムin東京
2024年12月13日~14日 2024年度CxPE(性能検証技術者)資格研修会
2024年12月19日 BSCA第5回企画運営委員会
◆協会活動予定 (2025/1~2025/2)
2025年1月24日 2024年度BSCAシンポジウムin中部
2025年2月6日 2024年度BSCAシンポジウムin関西
2025年2月25日 BSCA第6回企画運営委員会
2025年2月28日 CxPE座談会(関西)
◆編集者より
昨年は日本国内の震災、事故で不安な年明けでしたが、今年は年末から続く海外の大統領に関る話題が報道を賑わせています。社会の動向を気にしつつも、やるべき事を粛々と果し、落ち着いた一年を送りたいと考えています。
◆編集長より
今年の干支は「巳」です。脱皮をするヘビは「復活と再生」の象徴で不老長寿や強い生命力につながる縁起のいい動物のようです。子供の頃はヘビの抜け殻を見て気味が悪いと感じていましたが、改めて干支を考えてみると、なるほどと納得しました。国内の状況も「復活と再生」となって欲しいものです。
◆企画制作
編集者:三浦(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)
編集長:大石(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)
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お問合せメール:bsca_mail@bsca.or.jp