コミッショニングレターVol.23 No.4(4月号)
2024/04/08掲載
第20期通常総会について
第20期通常総会・講演会を下記の通り開催することとなりましたので、ご案内申し上げます。
第20期通常総会については、通常総会、講演会 及び 技術交流会を実地開催致します。会員の方々との交流できる良い機会ですので、是非会場にお越し下さい。
総会後の講演会及び技術交流会につきましては、正会員以外の皆様にもご参加いただけます。御多忙中とは存じますが、お誘い合わせの上ご参加ください。遠方のため参加しにくい方等については、WEBでの配信をご希望ください。
なお、正会員の方で、総会を欠席される方、WEB配信を希望される方は、 必ず委任状のご提出をお願い申し上げます。委任状はBSCAホームページよりダウンロードください。
日時 2024年5月21日(火)13時30分 ~
場所 TKP新橋カンファレンスセンター ホール15C(15階)
東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング
定員 60名
申込締切 2024年5月13日(月)
主催 建築設備コミッショニング協会
スケジュール
通常総会 13:30~14:30
特別講演会 15:00~16:45
講演会1 15:00~15:45
「AI時代におけるコミッショニング(仮)」
大岡龍三氏(東京大学生産技術研究所 人間・社会系部門 教授)
講演会2 16:00~16:45
「サーキュラーエコノミー時代の建築(仮)」
菊地雪代氏(Arup)
技術交流会 17:00~19:00 同会場 ホール16D 有料:1名様 6,000円
*但し、賛助会員 各法人1名 を無料とします。
お申込み方法:http://www.bsca.or.jp/event/?p=1845 よりお申込み下さい。
BSCA設立20周年記念シンポジウムin関西 開催報告
―コミッショニングの推進を目指して-
日本政府は、2050年カーボンニュートラルの実現、また、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、ZEH・ZEB の普及、省エネ改修の推進、高性能断熱材や高効率機器、再生可能エネルギーの導入のための様々な支援を行っています。しかしこれらは、正しい設計、施工、検証、運用がなされなければ、実際の省エネ・省CO2の実現は難しいでしょう。BSCAは、そのキープロセスがコミッショニングだと考え、その推進活動を続けています。
2024年3月1日(金)に京都で開催された今回のシンポジウムでは、業界関係者の方々にコミッショニングの事例について講演いただきました。現地会場とWEBの併用開催とし、現地参加50名、WEB視聴 25名の合計75名の参加者が講演に耳を傾けました。
シンポジウムは以下のプログラムで進められ、最後にディスカッションが行われました。
■基調講演
建物制御と人体生理・心理
立命館大学 近本智行
■第1部 ―CxPEが主導するCx事例紹介―
立命館大学びわこ・くさつキャンパス 教室棟熱源空調改修工事トータルCx事例
学校法人立命館:清水優貴、山下設計:得能正樹、ダイダン:橋本翔、流玄舎:岡敦郎
■第2部 ―コミッショニングビジネスの拡がり―
□米国CxFによる国内Cx
建築全体のコミッショニング米軍防衛施設における事例
TAB Engineers: RyanChan、大沼賢、長谷川春樹
データセンターのコミッショニング要件と実施内容について
Sygna Japan:GlennHawkins(ビデオ発表)
□多数ビルを所有するオーナーによるインハウスコミッショニング
NTTアーバンソリューション:北村義雄
■Q/A+ディスカッション
Q:CxにはFTP等が必要となるが、日本では施工段階になるとそれは契約に含まれていませんと言われたりする。米国の場合、FTP費用等はオーナーが負担するのか。
A:Cxはオーナーから直接発注される。FTPは各種の米国規格に準じて、主に施工業者にやってもらっている。
Q:建物オーナーによるインハウスコミッショニングに関して、Cxに対する社内のモチベーションを教えて欲しい。脱炭素もモチベーションとなっているのか。
A:Cxによる省エネのみでは、投資回収が難しいと感じている。自社のクラウドを用いて空調制御の最適化などと組み合わせて、投資回収をすることなどを検討している。無論、脱炭素は大きなモチベーションとなっている。
Q:米国系のDC(データセンター)はすべてCxを実施しているのか。Cxに費用がかるコストが問題になることはないのか。
A:米国系のDCでは、なんらかの形でCxは実施されていると思う。環境とか脱炭素が主目的ではなく、クライアントの仕様に合致しているかの確認と空調設備、電気設備の信頼性を確認することが主目的だと思う。
Q:米国の場合、Cxの内容を施工者に伝達するためにはどのようなことが重要と考えているか。
A:米国には複数のCx基準がある。例えばASHRAEの基準もある。最初にどの基準、仕様でCxを実施するかを明確にすることが重要と考えている。
Q:立命館大学のCx事例説明を拝聴し、非常に参考になった。今後、建物が更新時期や改修時期をむかえた場合、Cxを実施する予定ないのか
A:Cxを実施して、有意義であったと感じている。今後も継続してCxを実施したいと考えている。
Q:立命館大学では、既存熱源をモジュールチラーに改修したそうだが、パッケージエアコンに改修する場合にもCxを適用すべきかどうか、お考えがあれば聞かせて頂きたい。
A:中央熱源方式の空調システムにこそCxを適用すべきと考えている。
Q:米国系のDCにおいて、自動制御設備のフェールセーフ確認やサーバーラックの発熱試験はどの程度まで行うのか。
A:自動制御設備の確認は総合試験(IST:Integrated System Test)時に詳細に実施する。サーバーラックの発熱試験はHLT(Heat Load Test)と称して、電気ヒーターなどで実負荷をかけて実施している。
Q:日本では建物竣工前に試運転調整を行うが、米国との違い等があれば教えて頂きたい。また、FTPの有効性に関して意見を聞かせて欲しい。
A:米国系のDCではISTを必ず実施し、実際に空調システム、電気システムが機能するかを確認する。 例えば、空調システムに外気導入モードから循環モードに切り替える機能がある場合、クライアントによっては、現地盤に赤いボタンを設け、強制手動でモードを切り替えることがある。この場合、赤いボタンを押した後に何分で循環モードになるかを必ずチェックする。
CxとFTPを実施する場合の費用と、何もしない場合にかかるランニングコスト増分を比べると明らかなに前者が有利と思われる。CxとFTPに費用をかけるべきと思う。
報告者 CxPE大石晶彦
CxPE座談会2023(関西) 開催報告
建築設備コミッショニング協会(BSCA)では、「Cxの普及並びに実案件でのCxの課題に関する意見交換会」としてCxPE座談会を3月6日(水)に大阪にて実施いたしました。Cx経験者から各プロジェクトのCx概要と設計施工者の立場から見たCxの課題について説明頂いた後に、Cx普及に関するディスカッションを行いました。今回の座談会では設計施工者としてCxにかかわった人からの生の貴重な御意見を聞くことができました。
■座談会参加者(敬称略)
Cx経験者:石川学(大林組)、福谷篤正(新菱冷熱工業)、松下直幹(コミッショニング企画)
安井亮人(高砂熱学工業)
BSCA :近本智行(立命館大学)、辻裕伸(関西電力)、山口弘雅(関西電力)
大石晶彦(大林組)
■座談会で出されたご意見
・Cxを実施しないと、不具合につながることが多い。ただし、大規模プロジェクトでは施工担当以外のCx担当者を専任しないと十分なCxが出来ないと思う。Cx担当者を専任させるには、費用が発生するため、最初からオーナーの理解を得て、予算を確保することが大切と考える。担当したプロジェクトは大規模改修工事だったため、過去の運転データが蓄積されており、既存データをもとにいろいろなことが検討できたことがCxの成功に繋がった。
・Cxを円滑に行うためには、設計段階よりCx担当がプロジェクトに参画することが大切と考える。どのような機能性能試験をどのような方法で行うか、設計段階で明確にしておけば、設計施工者の対応もスムーズに行えると思う。
・担当したプロジェクトの熱源システムは複雑なものだったため、Cxを実施したからこそ実現できたように感じている。インハウスCxであったが、Cxの一つの形としてインハウスCxも有用であることが実感できた。
・オーナーにCxの効果を認識頂いて、Cxの必要性を実感して頂かないとCxを実施することは難しい。担当したプロジェクトではデータ分析等で費用対効果を算出し、オーナーに費用対効果を理解して頂いたためCxを実施できた。Cxニーズを持ったCxの有効性を認識したオーナーを多くつくることが、Cxの普及には最も重要なことだと思う。
報告者 CxPE大石晶彦
活動実績 活動予定 他
◆協会活動実績 (2024/3)
2024年3月1日 BSCA設立20周年記念シンポジウムin関西
2024年3月4日 第4回Cxマニュアル改訂委員会
2024年3月6日 CxPE座談会2023(関西)
◆協会活動予定 (2024/4~2024/5 )
2024年4月4日 資格判定委員会
2024年4月19日 第6回企画運営委員会
2024年5月21日 第20期通常総会
◆編集長より
今年は桜の開花が遅れています。東京の桜開花日は2021年が3月14日、2022年が3月20日、2023年が3月14日で、今年は3月29日でした。暖冬の影響で桜の開花はどんどん早くなるものだと思っていましたので、少し調べてみると、桜が開花するためには十分な冬の寒さと早春の暖かさが必要ということが判りました。特に冬の寒さが必要なようです。地球温暖化が進み、冬の平均気温が上昇すると桜が開花しない地域が出てきたり、九州地方から東日本地域まで一斉に桜が開花したりすることが起こりうるそうです。「桜前線」という言葉が無くなる日が来るかもしれません。
◆企画制作
編集長:大石(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)
WEB版作成:小澤(建築設備コミッショニング協会 事務局)
※本誌に掲載した著作物の著作権は、特定非営利活動法人建築設備コミッショニング協会が所有します。許可無く複写転用することをお断りいたします。
お問合せメール:bsca_mail@bsca.or.j(アットマークを半角に)