コミッショニングレターVol.23 No.2(2月号)
2024/02/07掲載
- BSCA設立20周年記念シンポジウムin東京
- BSCA設立20周年記念シンポジウムin関西
- ASHRAE Japan Chapter 参加報告
- 日本建築総合試験所 機関誌「GBRC」特別寄稿
- 活動実績 活動予定 他
BSCA設立20周年記念シンポジウムin東京
BSCAでは2024年2月16日(金)に「BSCA設立20周年記念シンポジウムin東京 -コミッショニングの推進を目指して-」を開催いたします。
2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことが宣言され、省エネルギーを徹底し再生可能エネルギーを最大限活用することが示されました。カーボンニュートラルの実効ある実現に向けて、建築設備の性能に対するコミッショニングの重要性と必要性はますます高まってきています。そのような中、今回のシンポジウムは、関係者の方々にコミッショニングの事例について講演いただき、コミッショニングの効果を認識頂ける内容となっておりますので、多くの方々の参加をお待ちしております。
申し込みは下記HPよりお願いいたします。
http://www.bsca.or.jp/event/?p=1815
◆開催日時 2024年2月16日(金)13:30~16:05
◆会場 ビジョンセンター浜松町6階E(東京都港区浜松町2-8-14)及びZOOM配信
◆定員 100名(現地40名+オンライン形式60名)
◆参加費 BSCA会員(正会員・賛助会員)5,000円/人、非会員10,000 円/人、学生1,000円
◆主催 特定非営利活動法人 建築設備コミッショニング協会(BSCA)
◆協賛 (公社)空気調和・衛生工学会(予定)、(一社)日本建築学会(予定)、(一社)建築設備
技術者協会(予定)、(一社)建築設備綜合協会 (予定)、(一財)ヒートポンプ・蓄熱セ
ンター (予定)、(一社)日本ビルヂング協会連合会 (予定)、(一社)ESCO・エネルギ
ーマネジメント推進協議会(予定)
◆プログラム
13:30~13:35 趣旨説明
BSCA理事長 柳原隆司
13:35~14:05 基調講演 (仮題)各種環境評価とコミッショニング
慶應義塾大学理工学部 システムデザイン工学科 伊香賀俊治
14:05~14:10 質疑応答
14:10~14:40 講演1(仮題)Cxを普及させるには。設計者が考えるCxの利点と事例
株式会社久米設計 環境技術本部 上席専門部長 横山大毅
14:40~14:45 質疑応答
14:45~14:55 休憩
14:55~15:25 講演2(仮題)東京電力東尾久ビル本館におけるリニューアルZEBの実現
東京電力ホールディングス株式会社 土木・建築統括室 久保井大輔
15:25~15:30 質疑応答
15:30~16:00 講演3(仮題)虎ノ門エリアにおける機能性能検証の取り組み
森ビル株式会社 設計部設備設計部設備設計3グループ 課長 浅利直記
16:00~16:05 質疑応答
BSCA設立20周年記念シンポジウムin関西
日本政府は、2050年カーボンニュートラルの実現、また、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、ZEH・ZEB の普及、省エネ改修の推進、高性能断熱材や高効率機器、再生可能エネルギーの導入のための様々な支援を行っています。しかしこれらは、正しい設計、施工、検証、運用がなされなければ、実際の省エネ・省CO2の実現は難しいでしょう。BSCAは、そのキープロセスがコミッショニング(以下、Cx)だと考え、その推進活動を続けています。
ここ数年、ビジネスベースのCxプロジェクトの事例が増えてきており、BSCA主催のシンポジウムでも毎年3件ずつBSCAが資格認定しているCxPEが主導したCxプロジェクト事例の発表を行っており、今回のシンポジウムでも、第1部として全学でCxの実施を推進されている立命館大学施設の事例を発表します。
今回は、第2部「Cxビジネスの更なる拡がりを目指して」というテーマを設けています。まず、国内のCx実施が義務付けられている米国資本の施設のCxに関する発表です。BSCAには、米国資本の国内のデータセンター建設工事に携わる関係者からCx事業者(Cxプロバイダ、以下CxF)を紹介してほしいという要望が寄せられ、また、在日米軍施設のCxを行っている米国のCxFの方からは、日本国内のCxFやCx実務者を探しているため協力してほしいという問い合わせがありました。そこで、日本で米国資本のデータセンターのCxプロジェクトを実際に行っているCxFの方と、前述の在日米軍施設のCx対応をする日本のCxFパートナーを探している米国CxFの方のお二方に、それぞれデータセンター、米軍施設のCx業務要件や実施内容について発表していただきます。
続いて、多数のビルを所有するオーナーによるインハウスCxの実施展開に関する発表です。環境経営視点から、保有アセットの脱炭素化(省エネ促進)の課題に対応するため、インハウスでのCx事業を展開する活動について発表していただきます。
最後に、CxFとして企業活動をしているBSCAの理事から、エネルギーサービスのCxや企業のCx事業化のアドバイザリーなどの業務事例を紹介しながら、Cx事業の拡がりについてお伝えします。
Cxビジネスに役立つ情報が盛りだくさん提供される内容となっていますので、ぜひ参加をご検討いただければと思います。
申し込みは下記HPよりお願いいたします。
http://www.bsca.or.jp/event/?p=1833
◆開催日時 2024年3月1日(金)13:20-17:15
◆会場 TKPガーデンシティー京都タワーホテル6階ナポリ・ミラノ
(京都市下京区烏丸通七条下ル東塩小路町721-1)
◆定員 150名(現地50名+WEB(ZOOM)100名)
◆参加費 BSCA会員(正会員・賛助会員)5,000円/人、非会員10,000 円/人、学生1,000円
◆主催 特定非営利活動法人 建築設備コミッショニング協会(BSCA)
◆協賛 公社)空気調和・衛生工学会(予定)、(一社)日本建築学会(予定)、(一社)建築設備 技術者協会(予定)、(一社)建築設備綜合協会 (予定)、(一財)ヒートポンプ・蓄熱センター (予定)、(一社)日本ビルヂング協会連合会 (予定)、(一社)ESCO・エネルギーマネジメント推進協議会(予定)、(一社)関西ESCO協会・建築エネルギー懇話会
◆プログラム
13:20~13:30 趣旨説明
BSCA名誉理事長・京都大学名誉教授 吉田治典
13:30~14:00 基調講演 建物制御と人体生理・心理
立命館大学教授 近本智行
第1部 トータルコミッショニングプロジェクト事例紹介
14:00~14:35 立命館大学びわこ・くさつキャンパス教室棟熱源空調改修工事トータルCx事例
概要説明 清水優貴(学校法人立命館) (10分)
設計フェーズのCx 得能正樹(山下設計) (10分)
施工フェーズのCx 橋本 翔(ダイダン) (10分)
まとめ 岡 敦郎(Cx企画) (5分)
14:35~14:45 休憩
第2部 コミッショニングビジネスの拡がり
14:45~15:15 米軍施設のコミッショニング要件と実施内容について
RyanChan氏+日本人スタッフ
15:15~15:45 データセンターのコミッショニング要件と実施内容について
Sygna Japan 発表者未定
15:45~16:05 保有アセットのコミッショニングの実証と事業モデルの検討について
NTTアーバンソリューション 北村義雄
16:05~16:20 コミッショニングビジネスの拡がり
~ 様々な分野のコミッショニング・Cx企画の委託案件より ~
Cx企画 松下直幹
16:25~17:05 質疑応答・パネルディスカッション
コーディネーター:前出 吉田治典
ASHRAE Japan Chapter 参加報告
ASHRAE Japan Chapter Distinguished Lecture「Commissioning: The What, Why and How.」
参加報告
CxPE:上谷 勝洋
開催日時:2024年1月12日(金)15:30~17:00
開催場所:立命館大学東京キャンパス会議室
(東京都千代田区丸の内1-7-2 サピアタワー8F)
※対面とWEBによる開催で、会場には30人程度の参加していました。
※Distinguished Lecture とは、ASHRAE 本部が定めた著名な講師の講演をリクエストすることで、各Chapterが招致できる取り組み
【特別講師】: Jim Vallort Mortenson
特別講師のジム・ヴァロート氏は、ASHRAE協会副会長であり、米国のゼネコンであるモーテンソンという企業で、コミッショニング・プログラム・マネージャーを務めている方です。
エネルギー使用量の測定、システムの最適化、エネルギー制御のためのオートメーションの統合、そしてエネルギー消費に与える試運転の影響に至るまで、エネルギーに関するキャリアがあり、エンジニアとしてサードパーティコミッショニングとプロジェクトデリバリーの経験豊富な実績を持たれています。
【講演概要】
コミッショニング(以下Cx)とは何か。それは“品質を高めるプロセス”であり、建設のすべてに適用されるものです。試運転作業においても検査においても単なるテストではなく、これには設計レビューが必要です。シミュレーションも行います。このようにCxは、実際には多くのことの組み合わせであるということです。違う視点から説明するとCxは“追加の目”と言えます。
しかしCxにばらつきがあり、品質管理の方法や品質の徹底については、人それぞれ異なるスタイルを持っていること、これがCxを困難にする要因の1つとして考えられます。プロジェクトごとに実施する項目も検査方法も異なります。Cxは品質の高いプロセスであるべきです。
設計・施工の段階では、早めに着手してまず設計を見直します。次に、ドキュメントの作成とテストを行います。オーナーのニーズを満たしているのか、図面をレビューします。議論して最初から正しく図面を作成して、修正が必要ないようにしたいと考えています。竣工後に問題が起きないようにするために設計を見直すのです。
また、意図したとおりに動作すること、設計どおりに動作するとは言えないことに注意して、テストを行います。設計エンジニアにヒアリングして、仕様のこの部分はどういう意味なのかを確認して、それを明確にして必ず理解することが大事です。その意図をテストすること、その結果を後から共有できるようにすること、だからドキュメントの作成とテストの実施が重要です。この作業は、オーナーや取引業者と協力したりしながら、Cxを行う仕事の一部です。
Cxのメリットは、オーナーの観点と技術的な観点から、設備システムが一連の動作をすべて実行できているという文書があることで、記録されたパフォーマンスが共有できることにあります。そのためには、テストに合格したかどうかを示す基準が必要です。これはCxの仕事の一つです。建築システムが設計、設置、機能していることを検証して文書化します。通常お勧めしたいのは、すべてのシステムをリストとして作成することです。そのリストの各項目が、デザインレビューの一環なのか、工場立会検査はあるのか、設置検査はあるのか、事前の機能検証はあるのか、機能検証は行われているのか、運用チームにトレーニングを実施したのかをチェックします。そしてシステムマニュアルや実施した結果を整理して、運用チームに渡します。
これらの取り組みをデータセンターや制御システム、医療施設等のCx実例で紹介しています。
また試運転の段階としてレベル1を工場検査、レベル2を納入時検査、レベル3を対向試験、レベル 4 を動的試験として、部品からシステム、サイト全体に移行していくことが重要なポイントとして紹介しています。
【質疑応答】
Q)Cxに活用できるソフトはあるか?
A)CxAlloyが優れている。Excelでも対応はできる場合もある。
Q)Cxの費用について
A)作業量に応じて契約するがクライアントの金額提示に応じて、バリューエンジニアリングとして作業内容を削減する必要がある
Q)建物のスマート化によりシステムがより複雑になっているということについて
A)スマート ビルディングにインテリジェンスを追加すると、システムが相互に通信できるようになるので、コミッショニングが非常に興味深いものになる
【BSCAの取組紹介】
プレゼンテーションと質疑応答の後、ASHRAEのWEBサイトにあるJapan Chapterの紹介と赤司副理事長よりBSCAの取り組みについて紹介された。
【感想】
英語が得意ではないのですべてを聞き取ることはできなかったが、非常に基本的な教科書的なCxの説明でした。プロセスの重要性、OPRとFPTの重要性、文書化の重要性が強調されており、我々の取り組んでいるCxと同様な活動をビジネスとしていることが理解されました。
日本建築総合試験所 機関誌「GBRC」特別寄稿
日本建築総合試験所の機関誌「GBRC」に当協会の吉田名誉理事長が特別寄稿「建築設備のコミッショニング」を行いました。特別寄稿は下記の8章構成となっており、Cxの歴史や背景及び具体的な説明から、新築建物・既設建物のCxプロセスの説明、Cx適用例(京都駅ビル)の詳細説明などが判りやすく紹介されています。
1.はじめに
2.コミッショニングとは
3.Cxプロセスの概要
4.Cxの実施例(京都駅ビル)
5.Cxにかかわる技術者
6.Cxと研究開発
7.今後の課題
8.まとめ
下記のアドレスにアクセスいただければ、どなたでも自由に閲覧できますので、是非、訪問ください。
https://www.gbrc.or.jp/gbrc_report/hot/
活動実績 活動予定 他
◆協会活動実績 (2024/1)
2024年1月19、20日 第13回(2023年度)CxPE(性能検証技術者)資格研修会
2024年1月26日 BSCA設立20周年記念シンポジウムin中部
◆協会活動予定 (2024/2~2024/3 )
2024年2月7日 第5回企画運営委員会
2024年2月16日 BSCA設立20周年記念シンポジウムin東京
2024年3月1日 BSCA設立20周年記念シンポジウムin関西
◆編集者より
BSCAは設立20周年を記念し、1月の中部から始め、2月に東京で、3月に関西でそれぞれシンポジウムを開催します。1月26日(金)の中部ではハイブリッド形式で多くの参加者で盛大に開催できました。現地+Web会議は、システム構築が困難と言われて来ましたが、昨今では当たり前になってきました。Web会議は決して「コロナ禍の遺物」ではなく、無くては困る必須技術となりました。
◆編集長より
1月号では辰年にちなんだ十二支の話題を書かせて頂きましたが、今月号も辰年にちなんだ話題をお届けします。私の出身県の高知県には日本3大鍾乳洞の1つに数えられている龍河洞(りゅうがどう)という鍾乳洞があります。(あまり有名ではないですが)洞窟内に「神の壺」とよばれる土器が鍾乳洞と一体化(壺が鍾乳石に飲み込まれた状態)した壺があります。かなり珍しいものだそうです。
高知を旅する機会がありましたら、ぜひ一度お立ち寄りください。
◆企画制作
編集者:田上(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)
編集長:大石(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)
WEB版作成:小澤(建築設備コミッショニング協会 事務局)
※本誌に掲載した著作物の著作権は、特定非営利活動法人建築設備コミッショニング協会が所有します。許可無く複写転用することをお断りいたします。
お問合せメール:bsca_mail@bsca.or.jp(@を半角に)