コミッショニングレターVol.19 No.9(9月号)

2022/09/12掲載

2022年度 CxPE(性能検証技術者)資格研修会

建築設備コミッショニング協会では、コミッショニングの社会的な普及を目的とした活動の一環として、性能検証技術者資格試験制度・登録制度に基づくCxPE(性能検証技術者)の資格登録を行ってきており、現在までに、12回の研修会を実施し105名の方が資格登録者となられています。

今年度は、下記の要領で資格試験を含む研修会を実施いたします。皆様におかれましては、この機会に奮ってご参加いただきますようご案内申し上げます。

 

 

第13回(2022年度) CxPE(性能検証技術者)資格研修会

 

◆開催日程       2022129日(金)~20221210(土)

◆開催場所       大阪市北区堂島浜2-1-25 中央電気俱楽部 317号室

◆定員              15名(先着順)

◆参加費   個人正会員60,000円(賛助会員枠はございません)  

       一般    80,000(1 )

◆申込締切       20221014日(金)

◆主催              建築設備コミッショニング協会

 (*1)資格研修会申込時に個人正会員の申込を行えば、会員の参加費でご参加いただけます。

 

 申し込みは下記HPよりお願いいたします。

  http://www.bsca.or.jp/event/?p=1628

空衛学会大会(神戸大学)における技術展示

今年度の空気調和・衛生工学会大会が下記のとおり開催されます。

主催:公益社団法人 空気調和・衛生工学会

 開催日:2022914日(水)~16日(金)

 会場:神戸大学 六甲第2キャンパス 

(神戸市灘区六甲台町1-1

建築設備コミッショニング協会では、空気調和・衛生工学会大会(神戸大学)の技術展示会(学生ホールStudio one)に出展いたします。協会活動内容パネルの展示を行う予定です。協会のブースに是非お立ち寄りください。

 

講演会、シンポジウム開催案内

HPTC:デマンドサイドマネジメント表彰の募集

一般社団法人ヒートポンプ蓄熱センター(HPTC)では電力負荷平準化に資すると認められる機器および総合システムを広く公募し、そのうち特に優れたものを表彰することにより「電力負荷平準化システム」の一層の普及および社会への啓発を図っています。

令和5年度デマンドサイドマネジメント表彰の概要を下記に示します。

 

1.部門

     機器部門>

・電力負荷平準化に資するヒートポンプ機器および周辺機器。

 (ヒートポンプ機器の制御システムも対象とする)

 (吸収式、吸着式、チラー、ターボ冷凍機などのヒートポンプ機器も対象とする)

②総合システム部門>

   ・機器やその制御、運用方法などの組み合わせにより、電力負荷平準化に資する総合システム。

 

2.スケジュール

応募予定票: 令和491日(木) ~ 1014日(金)

応募申請書: 令和491日(木) ~ 1118日(金)

公表・表彰: 令和561日(木)(予定)

 

3.応募方法

「応募予定票」、「応募申請書」を作成し、まず、応募予定票を先行して提出して下さい。

    

詳細は下記URLをご覧ください。

https://www.hptcj.or.jp/library/tabid/2001/Default.aspx

 

建築設備士の日 記念講演会

一般社団法人建築設備技術者協会近畿支部では「建築分野におけるカーボンニュートラル 脱炭素社会の実現を目指して」と題する講演会を建築設備士の日(1111日)に開催します。

 

1.開催日時:20221111() 13:2016:30

2.開催場所:おおさかATCグリーンエコププラザ および Zoom

(大阪市住之江区南港北2-1-10ATCビルITM11)

3.定員:会場 60名、Zoom 500

4.参加費:無料

5.プログラム

13:2014:00

基調講演「カーボンニュートラル時代の建築設備設計」

東京大学 大学院工学系研究科 教授 赤司泰義 氏

14:0014:40

「阪急阪神ホールディングス不動産事業の環境への取組み」

阪急阪神ホールディングス株式会社人事総務室サステナビリティ推進部 課長小松克祥 氏

14:4015:10 カーボンニュートラル賞

「栗原工業ビルにおける環境負荷低減の取組み」

株式会社竹中工務店 東京本店設計部設備部門 チーフエンジニア 松倉想馬 氏

15:2015:50 カーボンニュートラル賞支部奨励賞

「高島市役所ZEB事業」

株式会社安井建築設計事務所 大阪事務所環境・設備部長 小林陽一 氏

15:5016:10

AGCのカーボンニュートラルへの取り組みと建築物における省エネ対策」

AGC株式会社 日本事業本部 商品統括グループ マーケティングチーム 松井徹 氏

16:1016:30

「住宅用サッシの採用動向と今後の期待」

株式会社エクセルシャノン 企画管理本部リーダー 小野義彦 氏

 

詳細は下記URLをご覧ください。

http://jabmee-kinki.com/archives/event/20221111

CxPE座談会報告 東京 第2回

建築設備コミッショニング協会(BSCA)では、「Cxの普及並びにCxPEの活躍方法に関する意見交換会」としてCxPE座談会を東京(1回)、関西(2回)にて実施いたしました。Cxレターでは全3回のCxPE座談会で議論された内容を下記の通り9回にわけてお伝えします。

今月号はCxPE座談会(東京)の第2回目の内容をお伝えします。

 

Cxレター20222月号 CxPE座談会 関西その1 1回目

Cxレター20223月号 CxPE座談会 関西その1 2回目

Cxレター20224月号 CxPE座談会 関西その1 3回目

Cxレター20225月号 CxPE座談会 関西その2 1回目

Cxレター20226月号 CxPE座談会 関西その2 2回目

Cxレター2022年7月号 CxPE座談会 関西その2 3回目

Cxレター20228月号 CxPE座談会 東京1回目

Cxレター20229月号 CxPE座談会 東京2回目

Cxレター202210月号 CxPE座談会 東京3回目

 CxPE座談会(東京) 参加者―

伊藤英明(東京電力エナジーパートナー㈱)、佐々木邦治(丸の内熱供給㈱)、梶山隆史(大成建設㈱)、上谷勝洋(東洋熱工業㈱)、河村貢(NTTファシリティーズ)<web参加> 木虎久隆(関西電力㈱)、高草智(㈱森村設計)、竹部友久(㈱日本設計)、柳原隆司(BSCA副理事長)、山田一樹(㈱日建設計総合研究所

 

 [柳原]設計当初より、運用段階でCxを出来るように計測機器に配慮して自動制御設備を設計することがあるのだろうか。

[梶山] 一般的にはプロジェクトでCxを採用する前提が無い場合、配慮しない。

[柳原]一つの問題は自動制御設備工事が高すぎることがあげられる。計測機器を買ってきてつけるだけなら安いが、性能を半永久的に保障させられるので、その分高くなっているように思う。

[梶山]自動制御設備の見積書には、最後に高額なエンジニアリング費が記載されている。顧客からも必ず内訳を問われる。自分も内訳を知りたいと思っている。

[竹部]自動制御設備メーカではクラウドにデータを吸い上げて、自社で分析してレポートするコンサルティング業務を実施しており、結構重宝されている。これは有益なビジネスモデルだと思う。運用データを分析したグラフがたくさんあり、グラフを見て空調システムの異常を発見できる可能性がある。ただし、医療分野でCTなどの画像を見て、病気の有無のわかる人と分からない人がいるように、グラフを見て問題が発生しているかどうかを分かる人と分からない人が出てくる。分かるが人きちっと見て的確にいかしていくというのは、社会全体としては良いと思うが、グラフ作って終わりというケースも多いように思う。

[柳原]例えば冷凍機の出入口温度、冷却水出入口温度等を時系列にプロットし、設計上はこのようなグラフになると最初に示しておき、運用が始まってから、実際のデータを確認し、差異が無いか確認するようなことをする必要があると思う。正しい運転状況から外れたグラフを見て、問題無いと考える人がいると意味がない。設計者が、こことここの点を動かしてグラフ化したらこうなるはずだというのを示してあげるのが一番親切だとは思うが、かなりの労力が必要となる。

[竹部]そこまで考えて設計している人は少ないと思う。

[山田]エネルギーマネジメント業務を行う際に、顧客からエネルギー削減費用とコンサル費用を比較されることがよくある。こういった場合、検討に大きな労力がかけれないということは確かにあると思う。

[柳原]運用実績データのグラフ化業務もフォーマットを統一化しないと、毎回大きな労力が必要になる。わかってはいてもなかなかできない。

[竹部]そのうちAIで自動的にデータを抽出、分析し、自動的に設定値を書き換えてくれるシステムが、何年か後にはできるのではないか。

[佐々木]ターボ冷凍機のINV制御、冷却水ポンプのINV制御、冷却塔ファンのINV制御はそれぞれ相関関係があるので、人間が制御方法を検討してもきりがない。AIを利用して制御モデルを構築してみたら、最初はおかしな制御データが出てきたが、学習を重ねることにより、人間が設定していたら絶対到達できないレベルの制御を行うことができた。AI利用は今後、どんどん進んでいくと思う。ダイナミックに色んな設定が変更されるので解析はできないが、最後に出てきた省エネ性能だけは人間が行うレベルを超えている。

[柳原]自動制御システムの目的が省エネなのか、快適性なのかという問題がある。

[竹部]空調システムは室内温度を満足させるということが目的だと思うが、それぞれ熱源までさかのぼっていくとどの制御システムも室温を見ていない。空調機のファンは室温を見ておらずVAVの要求だけ見ていて、空調機コイルは給気温度でバルブ制御している。ポンプの方は空調機の流量と圧力を見て制御し、熱源は熱量や熱源の台数を見て制御する。これが一つズレると、全部ズレる。室温は満足しているが、全ての機器がフル運転しているような状況も見受けられる。部分部分のフィートバック制御に問題があるのではないかと思っている。ある省エネコンサルの方がやっている事例では、2次ポンプを室温で制御している。自動制御とは別にセンサをたくさん設置し、センサからの情報でポンプを制御していた。こういう発想があるのだと思った。我々の自動制御のセオリーと全く違う発想で、理に適っていると感じた事があった。

[山田]ついつい色々な心配をしてしまうが、本来の空調システムの目的からすると、室温を制御パラメータとするという発想は正しいのかもしれない。先ほど佐々木氏が言われたように、空調システムには様々な制御パラメータ、機器がある中でどのパラメータもしくは機器が重要かというのをAIが学習していけるようになると竣工後のCxは不要になるかもしれない。自動化が進み手間が省くことができ、設計者はこれらの仕組み作りのみに注力できるのではないかと思う。

[竹部]設定温度で制御する場合、設定温度が正しければ良いが、設定温度を間違えると乱高下されるケースが多い。空調は一般の方が使うので、そのような場合、空調システムが全部破綻してしまう。中央熱源方式はそのあたりが手ごわいと思う。

[河村]現在は通信関連会社勤務となっているが以前はゼネコンに勤務していた。延べ250件ほど省エネ診断をしてきたが、既存建物のCxが重要だと感じた。リニューアル時期の築20年が絶好のCxのチャンスだと思う。数年の継続Cxを行うとエネルギー使用量が20%から30%程度は低減できる。250件診断したエネルギー使用量削減アベレージスコアは10%で、複数年度でリニューアルを行うような場合は20%から30%程度であった。なお、高度な計測システムが設置されていなくとも、機器が無駄に灯いてる無駄に動いているのというのを見える化するだけでも省エネ効果はある。

[柳原]数値化や見える化しないとダメだと思う。また、Bac-netを作ったコーネル大学の教授のように自動制御メーカに任しておいてはダメだと考える先進的、剛腕の人がいないと進歩が無い。

[山田]河村氏が言われていたように既存建物をどうするかというところが、カーボンニュートラルには欠かせない要素だと思う。既存建物のエネルギー削減、コンサルティングは非常に重要なキーワードだと思っている。海外シンポジウムでも、韓国の先生が既存建物の場合、Cxを行い現状の負荷、無駄を確認して設計に反映することを当たり前にやっていると聞いた。BSCAとしても既存建物に対する取り組みを推進していく仕組み作りがあってもよいと思っている。

[柳原] 東大本郷キャンパスでは脱炭素化の取り組みでCO2排出量を40%削減した。改修予定がある建物について、改修工事前の1年間はエネルギー使用量計測を必ず行うことをルール化した。既存建物も運用データがないと、どのように改修して良いかがわからない。

[河村]建築に関して、定期点検報告制度があるが、建物エネルギー消費量に関しても同様な制度を国が制定してくれればCxの普及が進むのではないか。BSCAだけでは出来ないが、BSCAとして動いて頂ければと思っている。

[佐々木]建築物省エネ法以前の省エネ法時代のエネルギー報告書はザックリ度合いが千差万別であった。東京都のトップレベル報告書は毎年提出が必要だが、更新が5年に1回となっており、更新時のみ綿密に作業を行う例が多いと思う。毎年の報告書にある程度縛りをかけられると、Cxの需要が出てきそうな気がする。

[柳原]省エネ度合いを測ってレポートにして出すという法律が制定されれば、CxPEなどの活躍の場はもう少し出るのではないかとも思う。今のままでは2050年のゼロミッションはほとんど不可能であるので、かなり強引な事をしなければならないのではないだろうか。実際、国交省も色々と考えているようである。まずはカーボンタックス(炭素税)が実行されるのではないか。

[竹部]行政の話がでたが、法律を作るまでが国土交通省の役割なので、どちらかと言うと省エネ法、ZEBを統括している経産省の方に、竣工直後の確認と既存建物に対して何かをやるべきだという働きかけを行うことも一つあるかもしれない。

[山田]経産省に講演を依頼した時に、Cxはこういう種類があると説明すると、機器の容量が過大で、省エネになっていない、まだまだ運用に無駄があるという点を入れるのであれば、我々も行動するという話の展開になったことがあった。経産省への働きかけがもう少し必要だと感じている。

[河村]ある行政建物でリニュアーアル工事を行ったが、照明器具をLEDに替えるだけであった。昼光センサを設置すればさらなる省エネが実現でき、カーボンハーフも可能であるが予算が無いとなる。大規模改修の場合、専門家に意見を聞く事を義務付けるような制度にしなければ、単純更新ばかりとなってしまう。CxPEや設備設計経験者等の専門家の参画があれば、良いのではないかと思っている。

[柳原]エネルギー管理士(経産省が資格を作っている)の意見を聞くことを定めた制度とすればよいのではないか。

 

CxPE座談会 東京 2回目

CxPE座談会東京2回目では、自動制御設備の問題点と将来動向、並びに既存建物のCxの重要性及び運用段階でのエネルギー報告制度の重要性について議論を行いました。来月号では個別分散システムのCxに関する議論をお届けします。

活動実績 活動予定 他

 

◆協会活動実績 (2022/7)

2022818日(木) ACSES/Cx公開ワークショップ(第4回)

2022826日(水) 2022年度 CxTE講習会

 

◆協会活動予定 (2022/92022/10)

2022914日(水)~16日(金)空衛学会技術展示化会 出展

2022920日(火) ACSES/Cx公開ワークショップ(第5回)

2022930日(金) 2022年度 第3回 企画・運営委員会

20221018日(火) ACSES/Cx公開ワークショップ(第6回)

 

◆編集者より

     コロナ感染拡大は、少し落ち着いて来たようですが、まだまだ先が全く見えません。企業によっては、自主的な制限を設けて、出張やイベント参加、大人数の集まる会合等の規制をしているとお聞きしました。ウイルスもBA.5からBA.2.75(ケンタウロス)に移行しており、第8波到来の可能性もあると言われています。いつになったらマスクを外し、普通の生活に戻る事が出来るのでしょうか。。。。。

 

◆編集長より

    空気調和衛生工学会大会が914日(水)~16日(金)の間、神戸大学で開催されます。実開催は2019年の北海道大会依頼ですので3年ぶりの実開催となります。残念ながら交流会等は開催されないようですが、ともかく久しぶりの対面開催となります。BSCAでは毎年、大会に合わせて技術展示を行っておりましたが、神戸大会でも展示を行うこととしました。会場にお越しの際は、協会ブースにもお立ち寄りください。

 

   ◆企画制作

編集者:田上(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)

編集長:大石(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)

 WEB版作成:小澤(建築設備コミッショニング協会 事務局)

 

※本誌に掲載した著作物の著作権は、特定非営利活動法人建築設備コミッショニング協会が所有します。許可無く複写転用することをお断りいたします。

お問合せメール:bsca_mail@bsca.or.jp(アットマークを半角に)

 

 

 

前の記事へ戻る 一覧へ 次の記事へ
PAGETOP