コミッショニングレターVol.18No.10(10月号)

2021/10/04掲載

2021年度 CxPE研修会、CxTE講習会 

2021年度のCPE研修会並びにCTE講習会を下記の通り開催予定です。

CPE研修会

 開催日:202112月(予定)

 開催場所:東京

 

CTE講習会(HPに掲載中です)

10回となる講習会を、昨年度に引き続きコロナ禍の状況を考慮して、「Zoom」によるオンラインで開催致します。機能性能試験や設備運転適性化などの検証業務を実行するCx専門技術者として、スキルと資質を修得できる講習会です。設備設計施工に携わる技術者、運転管理の技術者、エネマネ事業に携わる方、建築設備の勉強をされている学生の方等、全国各地からのご参加をお待ちしております。

□講習日時 : 20211022日(金)

□開催時間 : 9:0016:30 ZOOMを利用したオンライン講習会

(開催前日までにミーティングIDとパスワードをメールします。)

□参加定員 : 60

□参加費用 

個人正会員:AB両方受講の場合 10,000円,AのみBのみ片方受講の場合5,000

※賛助会員企業からは2名まで受講費無料、3名目から上記受講料となります。

一般   :AB両方受講の場合 20,000円,AのみBのみ片方受講の場合15,000

※学生の方 AB両方でも片方でも5,000

□申込先  : http://www.bsca.or.jp/event/?p=1467

   □申込締切 : 20211013日(水)

    講習会プログラム

 講習1(CxTE-A講習)

1)計測技術

2)性能検証事例(水系性能検証)

3)性能検証事例(空気系性能検証)

 講習2(Cx過程)

1TE-A,Bの定義とCx業務過程全般について

 講習3CxTE-B講習)

1TE-B業務フロー概要

2)データ整理・可視化分析

3)シミュレーション技術

* TE-Aは講習12TE-Bは講習23の受講が必要です。TE-ATE-Bの両方を受講することもできます。

 「建築 CPD 制度認定対象プログラム」「空気調和・衛生工学会CPDシステム」 対象プログラム

です。各CPD登録者は、受講会場の受付で、CPDの申告をしてください。

講演会、シンポジウム開催案内

◆―2021年度BSCAシンポジウムin関西―

建築設備コミッショニング協会(BSCA)ではコミッショニング(Cx)の標準化と普及を目的とし、数々の先導的Cx事業に携わってきました。今年度は「コミッショニングの推進を目指して-2021年度BSCAシンポジウムin関西」と題して建築設備コミッショニング協会のCxPEが携わったCxプロジェクトの発注者(建物オーナー)、CMT、設計者、運転管理者からCxの意義・効果・成果などを講演頂きます。

□開催日時 : 20211126日(金)

□開催時間 : 13:3017:00 

□開催場所 : メルパルク京都

(京都府京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町67613

□参加定員 : 20名(WEBも併用いたします)

□参加費用 

個人正会員: 5,000円 事前登録し出席された方は無料で参加頂けます。なお事前登録し欠席の場合、有料となり後日参加費用を請求させて頂きます。

賛助会員 : 同上

非会員  : 10,000

学生   : 1,000

   □申し込み  :http://www.bsca.or.jp/event/?p=1478

 

  講演内容(予定)

1.趣旨説明 建築設備コミッショニング協会理事長・京都大学名誉教授 吉田治典

2.基調講演1 最新のBAS/BEMS/自動制御システムの動向について 

㈱コミッショニング企画 松下直幹

3.基調講演2 計測データを用いた検証業務事例

 ~新宮市庁舎におけるエネルギーマネジメントの取り組み~ 

関西電力㈱ 山口麻有

4.Cx事例1:四国電力のCxビジネスについて 

四国電力㈱ 天野雄一朗

5.Cx事例2:新宿高島屋既存Cx(企画・調査・対策実施フェーズ)

         ミツイワ㈱ 藤原弘史

         三機工業㈱ 渡邉亮祐

         東神開発㈱ 岡田洋一郎

前出 松下直幹

6.質疑応答・パネルディスカッション コーディネーター:前出 吉田治典

◆―VWVシステムの設計・調整・検証技術シンポジウムー

⼀般財団法⼈建築環境・省エネルギー機構(IBEC)が主宰する「住宅・建築分野の省エネ・省CO2・環境技術体系確立を目指す研究開発プロジェクト初期調整委員会」では、空調システムは適正な設計と調整、検証のプロセス(このプロセスを本委員会では「FPT1法」と称している)を経てはじめて想定した省エネルギーを実現できると考え、まずはVWVシステムについて検討を行いました。

この度、本委員会の成果である「FPT1法による変流量二次ポンプシステムの省エネルギー設計・調整・試験方法に関する技術解説書」をIBECのホームページから公開するにあたり、本書の内容を解説し、参加者の皆様と意見交換を行う場として、シンポジウムを開催することになりました。

建築設備コミッショニング協会は本シンポジウムを共催しています。皆様、是非ご参加ください。

 

□タイトル : VWVシステムの実質的な省エネを実現するための設計・調整・検証技術

シンポジウム

□開催日時 : 20211026日(火)

□開催時間 : 13:3015:30 ZOOMウェビナーを利用したオンラインシンポジウム

   □申し込み : 下記よりお申し込みください。なお、BSCA HPにもリンクを掲載しています。

           https://www.jjj-design.org/lecture/211026symposium/

 

講演内容(予定)

1. 開催主旨説明(5分)

   東洋熱工業株式会社、空気調和・衛生工学会総務理事 上谷勝洋

2. 本研究の背景(10分)

一般財団法人日本建築センター、建築技術研究所副所長 澤地孝男

3.技術解説書の内容について

  3.1 全体概要・VWVシステムの設計法について(40分)

京都大学名誉教授、建築設備コミッショニング協会理事長 吉田治典

  3.2 VWVシステムの1次エネルギー計算法及び調整・検証方法について(40分)

   株式会社コミッショニング企画、建築設備コミッショニング協会理事 松下直幹

4. 質疑応答(建築設備コミッショニング協会の活動紹介を含む)(25分)

コーディネーター: 前出 吉田治典

 

◆第2回 全国地中熱フォーラム 2021新潟

地中熱利用促進協会では「全国地中熱フォーラム2021 ―ゼロカーボンを目指して、持続的社会の実現に向けた取組―」を1019日(火)にオンライン開催いたします。また、1015日(金)~1022日(金)の間にバーチャル展示会も併せて開催いたします。

 

1.フォーラム

開催日:20211019日(火)13:0016:15

    (16:1518:00 バーチャル展示会の「リアルトークルーム」開設時間)

開催方法:ZOOMウェビナー

2.バーチャル展示会

アクセス期間:20211015日(金)~1022日(金)

リアルトークルーム※開設:1019日 16:1518:00

 展示会出展者とフォーラム参加者がリアルタイムで意見交換できる会議室を開設します。

3.申し込み

 下記のアドレスよりお申し込みください。

http://www.geohpaj.org/archives/9847

 

コミッショニングの研究を振り返って

-- CommissioningはなぜCxと略記されるのか?

                                                                                                                            理事長・吉田治典

 

 私がCommissioningという用語を初めて知ったのは、論文発表をするために1991年のASHRAE大会に参加した、今から30年前になります。このときの私の論文発表は熱負荷計算に用いる気象データのモデル化に関するもので、空調設備の省エネを直接的に扱う内容ではなかったのですが、大会プログラムにあるCommissioningという語をみて、これは何だろうと疑問のような関心を持ちました。この大会中、省エネ建築がテーマのフォーラムに参加したところ、省エネ建築と銘打ちながら実は省エネではないビルがあると、具体的な実名を挙げて解説する発表がありました。こうした中傷ともいえる発表を平気ですることは日本では考えられないことなので驚きましたが、それに加え、フォーラム参加者には、発表内容のメモを取らない、こういう発表があったことを記事として公表しないことをルールとして求め、それを紳士協定とするという文化の違いには一層驚きました。ガラス張りにして様々な問題を「前向きに論じる姿勢」は日本も見習わねばなりませんが、残念ながら未だ及ばずという感があります。日本では「内向き姿勢」によって不具合がオープン化されず、これが我が国でのCommissioningの進展を阻む一因になっていると感じています。コロナ禍で露呈したように、それぞれの組織の村社会的志向が底流にあるのでしょうが、早急な打破が必至です。

 その後、私は中原先生に誘われて、1993年から始まった国際エネルギー機構(IEA)の建築部門の省エネに関する国際研究活動Annex25に参加し、空調設備の運用時の省エネ研究に軸足を移すことになりました。この研究活動は「建物の最適化と不具合検知(Building Optimization and Fault Diagnosis)」がテーマでしたが、その後、Annex34では「コンピュータを利用した空調設備性能評価(Computer Aided Evaluation of HVAC System Performance)」、 Annex40では「エネルギー性能向上のための空調設備のコミッショニング(Commissioning of Building HVAC Systems for Improving Energy Performance)」、Annex47では「既存ビルと低エネルギービルのコスト効果のあるコミッショニング(Cost-Effective Commissioning of Existing and Low Energy Buildings)」と、2010年頃まで、ほぼ20年近く5年単位で続きました。IBECが窓口となったこの国際共同研究には当協会の多くの会員も参画され、空調設備の不具合検知診断を皮切りにコミッショニングに至る研究がなされ、内容の濃い成果報告書が作成されました。各レポートはwebからも入手できますが、これを機に当協会のホームページからもダウンロードできるようにしたいと思います。

Annex25Annex34Annex40Annex47 の報告書は下記のリンクからダウンロード可能です。

https://bsca.box.com/s/j84votn3f0aix2fyztxacogpelfxoagi

 こうした研究活動の中で、Commissioningの略号がなぜCxなのか、という疑問が時々話題になりましたが、海外の方に質問をしてみようということまでには至らず共同研究は終わりました。しかし5年ほど前、当協会のCxPE研修会の再編を機に「Commissioningとは」という命題を説明する講義資料の作成を担当することになり、この疑問が気になり始めました。そこで、英語圏の方ならその答えを当然知っているだろうという期待から、米国NIST(国立建築研究所)の研究者であるMilesi-Ferretti, Natascha氏に聞いてみました。ところが氏からは知らないと返事があり、今まで気にもしなかったが自分もその質問が気になりだしたので、他のCommissioningの有識者にも聞いてみると言ってくれました。しかし聞いた方々全員から「判らない、知らない」という回答しか得られなかったと返答がありました。そこで氏はますます気になりだしたのか、懸命にトレースしてくれました。氏はイタリア系の出身で大学ではラテン語を習得し、お母さんもラテン語には見識のある方だそうで、色々調べた結果、次のような説明が尤もらしいと回答がありました。

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医学の分野では処方箋のことをRxと表記する。ここでRはラテン語のrecipe(動詞)を表していて、「受け取る(take)」という意味を持つ。“Rx two aspirin” “Take two aspirin.”を意味し、薬剤師に渡される処方箋には右のような記号が用いられた。

Rにつくxはラテン語で省略形を表す表記法であり、例えばdixidxautemaxなどと略す例がある。xxという文字ではなく省略を表すために引かれた右上から左下への斜線(かもしれない)Rxが治す(heal)ことと関係することから、Cxは、建物を治すという類推から使われ出した(のではないか)。なお、Recipe17世紀に料理用語のレシピ-になった。

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 Cxに似た省略形に、いまやホットなDigital TransformationDX)がありますが、Transformationなのに何故Xなのという疑問があるためかインターネットにいくつかの解説記事があります。例えば、「DX“X”ってなに(https://www.alta.co.jp/blog/post-741/)」というサイトでは「Xという文字そのものが交差しているから『「交差する・横切る」ような意味の単語をXと略す』というパターンなのです!」と記されています。また、「DXDはデジタル、Xは?- DXTimeshttps://dxtimes.net/blog/what_is_dx)」というサイトでは、「英語ではex-trans-といった接頭辞をx-と省略する習慣がある」と記されています。さらに、「#4219. なぜ ''DX'' ''digital transformation'' の略記となるのか?(http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2020-11-14-1.html)」では同様の説明があるものの、明確ではないので確認が必要だとも記しています。私がサーチした限り、英語のサイトにはXの意味を説明する適切なサイトはありませんでした。私はMilesi-Ferretti氏がいうようにXは省略形であると思いますが、興味のある方はルーツ解明にチャレンジしてみてください。

 

活動実績 活動予定 他

◆協会活動実績 (2021/9)

空気調和・衛生工学会大会 技術展示会 9月8日(水)~9月30日(木)WEB開催

 空気調和・衛生工学会大会 技術発表会 917日(金)WEB開催

 

◆協会活動予定 (2021/102021/11)

  2021年度 第3回 企画・運営委員会  1013日(水)WEB開催

20211022日(金)CTE講習会 WEB開催

20211026日(火) VWVシステムの設計・調整・検証技術シンポジウム WEB開催

20211126日(金) 2021年度BSCAシンポジウムin関西

 

◆編集者より

 今年の建築学会と空気調和・衛生工学会の大会はいずれもオンライン開催ながらセッション毎に概要の発表と質疑応答が行われるようになりました。昨年はいずれの学会も同時刻の質疑応答がなかったのに較べて、以前の緊張感が戻ってきたと感じました。当協会の講習やシンポジウムもオンライン開催が増えており、同時刻のライブ感を大事にしたいと思いました。

 

◆編集長より

    今年度の空気調和・衛生工学会大会も昨年に引き続きオンライン開催となりました。BSCAではオンライン技術展示会に参加しBSCAの活動内容を展示させて頂きました。空衛学会HPでの完成イメージがわからないままにHPのボタンを作成したり、説明分を作成したりと、各種パーツを作成しましたので、実際の出来上がりを見ると失敗したなと思う部分も少しありました。来年はオンラインではなくリアルの技術展示会となるよう切に希望します。

 

◆企画制作

 編集者:三浦(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)

 編集長:大石(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)

 WEB版作成:小澤(建築設備コミッショニング協会 事務局)

 

※本誌に掲載した著作物の著作権は、特定非営利活動法人建築設備コミッショニング協会が所有します。許可無く複写転用することをお断りいたします。

お問合せメール:bsca_mail@bsca.or.jp(@を半角に)

 

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