コミッショニングレターVol.17 No.9(9月号)

2020/09/02掲載

第11回CxPE(性能検証技術者)資格研修会開催のお知らせ

当協会では、コミッショニングの社会的な普及を目的とした活動の一環として、性能検証技術者資格試験制度・登録制度に基づくCxPE(性能検証技術者)の資格登録を行ってきており、現在までに、10回の研修会を実施し95名の方が資格登録者となられています。

今年度は、下記の要領で資格試験を含む研修会を実施いたします。皆様におかれましては、この機会に奮ってご参加いただきますようご案内申し上げます。

詳細は当協会のホームページをご覧ください。

http://www.bsca.or.jp/event/?p=1313

 

開催日程:20201218日~20201219

開催場所:堂島リバーフォーラム 202(大阪市福島区福島1-1-17

定員  :15名(先着順)

参加費(会員): 個人正会員60,000円(*賛助会員枠はございません)

参加費(一般): 80,000

申込み締切り :20201030日(金)

 

注記)なお、今年度の研修会申込者が5名未満の場合、研修会の実施を見送ります。

(研修会実施の判断は10月末をもって行い、結果を申込者にご連絡します。)

また、新型コロナウィルス感染症の状況によっては研修会の実施を見送る可能性があります。

 

 

 

 

 

UC Davisの空調管理部門による新型コロナウィルス対応

UC Davis Facilities Management

Energy & Engineering 増田弘子

 

UC Davis(カリフォルニア大学デイビス校)では春学期(3月30日開始)と夏学期(6月22日開始)の授業はすべてオンラインで行われていて、職員も在宅で可能な限り対応するということになっているが、実験を伴う研究などは継続して行われている。6月より規制が緩和され、オフィスに人が戻り始めており、通常の業務時間の空調を再開してほしいという要請が増えてきている。教授の中には家ではオンライン授業や研究活動がやりにくいということで、3月や4月の段階からオフィスに戻ってくる人も多かった。大学が遠隔運営に移行すると決定した週、私が所属している施設管理部門のEnergy & Engineeringチームでは、使用されていない施設の空調を一日一時間に減らし、できるだけ光熱費を抑えるという施策を行った。これは様々な収入減を見込んでできるだけ不必要な支出を減らすという大学運営チームからの要請であった。連休や長期休暇に空調を停止するというエネルギー削減を普段から実施しているので、建物使用者の同意を含めて三日ほどで完了することができた。

キャンパス全体の活動自体が減少しているので、空調部分だけの削減量は計算していないが、大学全体のエネルギーや水の使用量の減少は、4月から7月まででおよそ百万ドル(1億円強)ということが分かっている。キャンパスはどこもガラガラで、図1(文末参照)と図2(文末参照)に示すWi-Fi接続によれば人口は90%ほど減少していることがわかるので、エネルギーや水の減少量が20%未満(表1参照)だったことは大学運営チームにとって少し残念な結果であったようだが、研究関連の施設がほぼフル活動していることや、施設やランドスケープを維持するには無人であってもある程度の継続的支出が必要であることなどを鑑みると納得できる数である。

感染の可能性をできるだけ減らすという点については、

·         MERV13以下の性能のフィルタを使用している空調機のリストアップ、アップグレードの可否

·         還気のある空調機では、講義の再開などにより建物内の人数が増えた場合に給気温度制御を損なわないような範囲で外気量をできるだけ多くすることを可能にする制御を追加する

·         BASデータを使用して外気・還気ダンパが確実に作動しているかを検査し、必要な修理や交換などを行う

というようなサポートを行っている。また、通常の空調システムは感染対策には対応していないので、たとえ100%外気であっても、マスクを使用しないで長時間同じ空間に滞在するなどの室内における感染に対して空調に防ぐ力はないことなどを建物の使用者に対して改めて確認している。100%外気にすることについて、実際の必要性については不明な点が多いものの、居住者の心理的な不安を和らげるという点から必要であると判断した。空調換気のCOVID対策としては、ASHRAEが発表している対策のリストのほか、Taylor Engineeringが作成した報告書(https://taylorengineers.com/taylor-engineering-covid-19-whitepaper)は様々な文献が網羅されていて参考になる。特に、Recommendation for Existing Buildings(既設の建物への提案)の部分では各施策の効果、実施コスト、エネルギーコストを評価した表が掲載されていて分かりやすい。

9月末に始まる秋学期には小規模の対面授業が行われる予定があり、常に変化する状況に対し柔軟なサポートを行っていくことになるだろう。多くの職員が遠隔で働く中、空調制御と通信の信頼性、エネルギーやBASを含めどれだけ多くのデータが利用可能かということが普段よりも重要になっていると感じている。

 

図1.左下図

過去一か月間のキャンパス全体のWi-Fi接続数.青い線は実際の接続数で、オレンジ色の線はCOVID以前のデータから推測した通常時の接続数.

図2.右下図

2月上旬から8月上旬にかけてのWi-Fi接続数の変化

活動実績 活動予定 他

◆協会活動実績 (2020/08)

 

 

◆協会活動予定 (2020/092020/10)

令和2年度空気調和・衛生工学会大会(オンライン)(9月16日(水)~18日(金))

2020年度 第3回 企画・運営委員会  1014日(水)WEB会議

 

 

◆編集者より

長男が通う小学校に伺うと、新型コロナ感染症対策として窓を開けて換気をしながら空調を行っていました。熱中症の危険性もありますので、換気のタイミングをうまく子供たちにお知らせできないかと、自前の技術を利用して二酸化炭素センサと温湿度センサを組合せてモニタリングとお知らせをする機器を作っています。このご時世、空調と換気の両立は設備技術者の課題かと思っていますので、少しでも省エネルギーの足しにならないものかといろいろと試行している今日この頃です。

 

 

◆編集長より

    今年は長い梅雨があけ猛暑が日本列島を襲っています。故郷の高知でも連日、40℃近い気温が記録されたと報道されています。学生時代に天気予報で34℃の予報が出ていて、非常に驚いた記憶がありますが、今では34℃の予報を見ても少しも驚きません。むしろ、涼しそうと感じてしまいます。「STOP温暖化」の必要性を痛感します。

 

 

◆企画制作

 編集長:大石(BSCA企画運営委員)

 編 集:天野(BSCA企画運営委員)

 WEB版作成:小澤(BSCA事務局)

 

※本誌に掲載した著作物の著作権は、特定非営利活動法人建築設備コミッショニング協会が所有します。許可無く複写転用することをお断りいたします。

お問合せメール:bsca_mail@bsca.or.jp(アットマークを半角に)

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