コミッショニングレター Vol.17 No.6(6月号)
2020/06/03掲載
第16期通常総会 開催報告
建築設備コミッショニング協会の第16期通常総会が下記の通り開催されました。今年度の通常総会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、大阪の本部事務局にて少人数で開催しました。なお、総会の進行状況は事前に登録された16人の方に対してWEB配信を行いました。
また例年、総会後に開催している講演会、技術交流会は開催を見送りました。講演会にて予定されていた特別講演につきましては、新型コロナウィルスの終息状況などを踏まえながら、後日シンポジウム等を開催予定です。
日 時 2020年5月12日(火)13:30~(受付13:00~)
場 所 大阪市住之江区南港北2-1-10ATC/ITM棟11階 本部事務局 会議室
◆総会概要
第16期総会は正会員227名のうち、総会出席者5名、委任状97名の合計102名で、定足数を満たしており適法に成立しました。その後、以下の議案の審議がなされ、すべての議案が議決されました。
議案の詳細内容はホームページ上に総会資料を掲載しておりますので、下記URLよりダウンロードしてご覧下さい。
http://www.bsca.or.jp/event/?p=1268
◆第1号議案「第16期事業報告及び収支決算に関する事項」
下記の事業についての報告と収支決算報告、ならびに監査報告がありました。
1)人材育成事業
・性能検証技術者(CxPE)資格研修会の開催は見送り、性能検証専門技術者(CxTE)講習会は仙台名古屋、岡山で開催
・国際シンポジウム 「ZEB 時代の建築環境性能達成プロセスとは 〜 コミッショニングを軸として 〜」を京都で開催
2)性能検証普及事業
・コミッショニングレターの発行状況、WEB版への移行
・会員増強に関する、空衛学会大会(北海道科学大学)の展示ブースへの出展及び「コミッショニング集い」を札幌で開催
3)調査研究・技術支援事業
・空衛学会のコミッショニング委員会と連携して活動
4)基準制定・検証事業
・Cx 費用ガイドライン検討 WG の活動状況
・先導的なコミッショニング事業として受託した京都駅ビルの熱源・空調システム改修工事の一連のコミッショニング業務報告
これらの事業執行に対する収支決算報告がなされた後、適切に処理されているという監査報告があり、本議案が承認されました。
◆第2号議案「第17期事業計画(案)及び予算(案)に関する事項」
下記のような第17期の事業計画案が説明されました。
1)人材育成事業
・性能検証技術者(CxPE)資格研修会を大阪で、性能検証専門技術者(CxTE)講習会を東京、大阪で開催予定
・11 月に「アジア太平洋 Cx 国際シンポジウム」を東京で開催予定
2)性能検証普及事業
・当協会のホームページ構成を見直し予定(一般閲覧者と会員との情報提供範囲を区分し会員メリットが判りやすいしくみを構築)
・コミッショニングに関する調査・研究事業の受託を目指す
3)調査研究・技術支援事業
・国際エネルギー機関(IEA)の研究活動、IEA/EBC Annex81「Data-Driven Smart Building(データ駆動型スマートビルディング)」の日本委員会に当協会から委員を派遣
・空衛学会のコミッショニング委員会と協調・連携してコミッショニングの普及を推進
4)基準制定・検証事業
・「建築設備コミッショニングマニュアル」を改訂し、一般流通図書としての冊子販売を検討
・先導的コミッショニング業務の受託、並びに調査研究委託業務を引き続き実施し、それらの活動成果やノウハウをコミッショニングに関わる人材育成や実務資料の集成に反映し知的資産化
上記の事業計画案の説明後、その予算についても説明がなされ、これらが承認されました。
下の写真は総会当日の会場の様子です。(WEB会議の画面)
Cx業務の想定人工数に関する調査へのご協力依頼
BSCAでは、Cxの普及促進を図るためにはCx業務報酬の目安を明確化することが必要と考え、新築建物に対するCx業務の標準報酬算定基準のあり方をまとめ、パブリックコメントを募集し、皆さまから多くのご意見を頂きました。その中で、標準報酬算定基準の作成自体が「事業者団体の活動に関する独占禁止法の指針(平成7年公正取引委員会)」に抵触する危険性のご指摘をいただきました。そこで、当協会内で討議した結果、標準報酬算定基準を定めることを見送ることとしました。その理由は、同指針で禁止事項とされている「具体的な数値、係数等を用いて構成事業者に価格に関する共通の具体的な目安を与える価格算定方式を設定すること。」が標準報酬算定基準にあたる危険性が高いと判断したためです。一方、同指針では「過去の事実に関する情報を客観的に統計処理し、価格の高低の分布や動向を正しく示し、かつ、個々の構成事業者の価格を明示しない。」という内容であれば独占禁止法の禁止事項にあたらないとされています。
そこで、BSCAとしては、CxPE資格者、CxF企業、建物オーナーを対象にCx業務に関する工数に関するアンケートを実施し、回答者の工数を統計的に整理した結果をホームページにて公開する事としました。
つきましては下記URLよりBSCAホームページにアクセスし、アンケート回答にご協力頂きますようお願い申し上げます。
自由投稿 「コロナ美談」
名誉理事長 中原信生
5月12日の中日新聞の記事である。本協会の研究活動や資格制定活動との関連において縁のある2名の中国人留学生から、留学先の母校である名古屋大学にコロナウイルス防御のための、2万八千枚のマスクの寄付があった。委細は下記の記事をお読みいただきたい。
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『元留学生ら中国から名大へマスク続々』 2020年5月12日 中日新聞記事
新型コロナウイルスの感染拡大の影響でマスクが不足する中、名古屋大(千種区)に、中国の元留学生や協定を結ぶ大学からマスクが続々と届いている。名大で修士号を取得した元留学生の楊靖さん(57)と楊湛さん(32)からは、それぞれ5千枚、2万3千枚が届いた。
現在、上海で会社を営む楊靖さんは工学研究科で3年間建築を学んだ。新型ウイルスの感染が中国で広がっていた2月、日本から中国に支援があったことに感謝し、「学恩に報いたい」と寄贈。環境学研究所で学び、広東省で学校を経営する楊湛さんも「お世話になった先生方への感謝と母校への恩返しの気持ちを込めたい」としている。
また、名大と学術交流で協定を結ぶ中国科学技術大(安徽省)からは千枚が送られ、「どんなに遠く離れていても、私たちは一緒に立ち向かう」のメッセージが同封されていたという。
この1か月で、個人や団体から計4万枚が寄せられたといい、松尾清一学長は「大変ありがたい。大学病院や学内の保育園などで使わせていただく」と感謝の思いを語った。
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以下、お二人の楊さんの寸描と当協会との関りについてご紹介しましょう。なお、お二人は同姓であるが互いに姻戚関係はない。
楊 靖さんは西安出身、西安冶金建築学院(現西安建築大学)の卒業生、名古屋大学工学研究科では筆者の修士学生で1995年3月に修士課程を修了(修論:蓄熱式空調システムの設計フォルトの運転性能に及ぼす影響)、その後大林組勤務ののち、自ら上海塞楊建築工程技術有限公司を創設、上海金融センターの工事に関わるなど、同社の総経理として活躍しておられ、また、塞楊建築ジャパンの社長でもある。コミッショニングにも興味を抱いていたので、当協会のCxPE資格を取得して、品質上の問題の多い中国の建築工事の品質向上に尽くしたらどうかと勧めたところ、2011年11月の講習会に出席され、資格試験は合格したけれども前提条件である日本の業務資格が不足しているとのことで、CxPE資格付与は保留になったままであるが、日常業務にCxの精神を取り入れて活動しておられ、中国、日本の関連企業から好感度を持って迎えられている。業務の一環としてのBIM活用の建築生産管理は得意技とのことである。
楊 湛さんは広州出身、清華大学建築学科の卒業生、名古屋大学環境学研究科奥宮正哉研究室の修士課程の学生で、2009年から2011年まで滞在(修論は:Analysis of building efficiency with LCEM tool – Case studies of commercial buildings in Hong Kong)した。公共建築協会と名古屋大学グループを中心とした空調システムシミュレーッションプログラムLCEMツールの開発に参画し、同じテーマに興味を抱く北京の清華大学グループとの橋渡しの役割も担った。当協会との関連は、当協会を通じて、当協会の研究員として楊さんに奨学金を支給したことで、当協会は公共建築協会より「空調システムシミュレーションツールの国際的評価検討」の研究を、受託費の中に楊氏の奨学金を含んで受託をしたのである。当人に言わせれば奥宮教授はお父さん、公共建築協会の時田常務理事(当時)は伯父さん、筆者はおじいさんだそうである。それほど皆に可愛がられ頑張って仕事をしたと言うことか。帰国後の彼女は広州地区の電力関係の会社に勤めていたが、現在は幼児教育の学校経営に携わっているとのことである。筆者所有のお二人の記念写真を載せておく。
左写真:社長室の楊靖さん(2001年撮影)
右写真:霞が関のグリーンビル見学中の楊湛さん(前列右端、2011年)
活動実績 活動予定 他
◆協会活動実績 (2020/05)
第16期通常総会 5月12日(火) 於 大阪本部事務局
2020年度 第3回 理事会 5月12日(水) WEB会議
◆協会活動予定 (2020/06~2020/07)
2020年度 第4回 理事会 6月12日(金)WEB会議
◆編集者、編集長より
新型コロナウィルスの影響でテレワークを行っている方も多いと思います。今までテレワークを行っていなかった方も、意外と「テレワークでも仕事を行える」と思われた方も多いのではないでしょうか。テレワークが浸透すると色々なところでエネルギー消費の低減が実現しそうです。例えば、通勤電車運行本数減による輸送エネルギー減、オフィスの照明及び空調エネルギー減、エレベータ消費エネルギー減などなど。新型コロナウィルスにより経済状況が悪化していますが、地球環境を考えるとピンチをチャンスに変える潮目が来ているように思う今日この頃です。
◆企画制作
編集長:大石(BSCA企画運営委員)
編 集:大石(BSCA企画運営委員)
WEB版作成:小澤(BSCA事務局)
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