コミッショニングレター Vol.16 No.1(新春1月号)

2019/02/22掲載

年頭のごあいさつ ~2019 年 新年を迎えて~

BSCA 理事長・吉田治典

新年おめでとうございます。本年が皆様方にとって幸多き年になるよう祈念い たします。 さて、当協会では昨年10月、米国におけるコミッショニング事情調査のため、 賛助会員である企業の方々もお誘いして調査団を結成し、総勢15名の参加を得 ました。このミッションでは3つの観点で調査を行いました。第一は、コミッシ ョニングをビジネスとするコンサルタントを2社訪問し、ビジネス展開のあり方 について情報収集すると共に様々な課題について意見交換を行いました。第二は、 米国の国立建築研究所に当たる NIST の建築研究部門を訪問し、ZEH の実験ハウス で実施されているコミッショニングの研究・技術の動向について調査し意見交換 を行いました。第三は、全米コミッショニング協会(BCxA)の年次大会に全員で 参加し、手分けして色々なセッションにでて、今どういう課題がホットなテーマ なのかを肌で感じると共に、各自が色々な出会を得て大会参加者と情報交換をし ました。この調査報告は、大阪と東京で開催する2月のシンポジウムで行います ので、是非皆様もご参加ください。 さて、昨年もトランプ旋風に世界が巻き込まれ各国で色々なフリクションが発 生する年でした。上記の調査中にも、米国の方々と話すとトランプ大統領の話題 が随所に溢れかえり、失望や悪口が止めどなく流れでて、インテリ系の人々がト ランプ嫌いであることを実感することができました。そして多くの方が、こちら をまるで米国民であるかのように、真剣に「あれはけしからんだろう」、「あれ っておかしいだろう」とまくし立てます。そんなこと言っても大統領を選んだの はあなた方アメリカ合衆国の人々であって、迷惑しているのはこっちなんだと言 いたくなりました。熱くストレートに政治を語る姿勢には大いに学ぶところがあ りますが、アメリカ合衆国は、大統領もだけど国民も、世界にはアメリカしかな いと思っているのではないかという心配もよぎります。

 

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【恒例】新春座談会

司会:皆様、良いお年をお迎えの事とお祝いを申し上げます。また、本日はCx レター恒例の新春座談会へご参加下さり誠にありがとうございます。早速ですが、 先ずは皆様方の年頭にあたっての抱負などをお聞かせいただきたいと存じます。

吉田新一:年頭ですので、良い話をしたいと思います。今年も元気に過ごしたい。 ボートクラブに参加しているのですが、オリンピック・パラリンピックに向けて 新しいボートコースを建設中ですが、今年はここでワールドジュニア国際大会が 開かれます。そこのお手伝いで総務委員会に登録しています。ボランティア活動 ですが、年寄りでも若人の大会の手伝いに参加できるっていいですね。

中原信生:自分と同年輩の天皇陛下が美智子妃殿下のサポ ートを得ながら、平和の祈りと国民の安寧な生活のために懸 命に務めを果たしてこられたことに心から敬意を表します。 4 月からどういう生活を送られるか、私自身の過ごし方を照 らし合わせるのは恐れ多いことながら、近代初めてのことな ので、興味深く拝見仕りたいと思っています。私自身の抱負 は、自分の体調を整えること、皆様のご活躍を見守ること、 身辺の終活と余生を整えること、くらいが実際のところでし ょうか。

吉田治典: 新年の挨拶で述べたことを考えつつ BSCA の一員として行動したいと 思います。 柳原隆司:やはり省エネルギーと電力負荷平準 化を推進していきたいと思います。省エネルギー に関しては企画・設計段階からのコミッショニン グの重要性をいくつかのプロジェクトで実感し ましたし、電力負荷平準化に関してはスマートグ リッドを活用したディマンドリスポンスに蓄熱 技術が大変有効なことが再確認できましたので、 蓄熱式空調システムのより一層の普及に向けた活動をしていきたいと思っていま す。

湯澤秀樹:今年はラグビーワールドカップの日本開催。2020 年東京オリンピック、2025 年大阪万博とグローバルなビッグ イベントが続きます。これからは自身の仕事もよりグローバ ルな視点で展開したいと考えています。昨年は米国で Cx 関 連の調査をしましたので、本年は欧州視察が企画できればと 考えております。また、昨年から IoT、SDGs、バイタルデー タ、働き方改革など様々なキーワードで社外のネットワーク を拡大してきました。本年はそれらをある形で結実させたい と考えております。

岡敦郎:昨年一年間は、退職後の充電期間と位置づけて、主に他分野の勉強と健 康や体力維持に留意して日々過ごしてきました。今年は「コミッショニング、省 エネルギー、環境・設備計画のコンサルティング」を本業とするべく正面に見据え 活動して行きたいと思っています。 司会:さて、地球環境問についてお聞きします。「パリ協定」が発効して二年を 過ぎましたが、相変わらず実効的な方策が出ません。その間に地球温暖化が進ん でいますが、皆さまどのようにお考えですか?

吉田新一:パリ協定が、京都議定書と大きく違う点は、アメリカ、中国、発展途 上国など京都議定書に参加しなかった多くの国が参加していることで、初めての 実効的な協定と思います。すでに危機的な状況に陥っている地球に対する最後の 対策だと思います。一昨年までは、先進国と途上国の資金援助の問題だと思って いましたが、トランプ大統領の影響で、纏まりようがありません。トランプ反対 です。 中原信生:地球温暖化虚報論のあるなかで、この風雨・高潮津波、台風の未体験 のコースと頻度・強度、その他の自然災害の頻出を見れば、いよいよトランプ流 の虚論は成立しませんが、かといってパリ議定書に基づく温暖化物質排出削減目 標値を達成できるとは、少なくとも中・米・日に関しては考えられず、結局は地 球環境の破滅に向かわざるを得ないのかと危ぶむ中で、私たちのコミッショニン グ思想の広域展開が必要との感をますます強くしました。

大石晶彦:先日行われた COP24 では、パリ協定をどのように実施していくかを定 めたルールが採択されました。ニュースを見ますと参加各国の意見対立があり、 採択をまとめるのに大変な苦労があったようですが、パリ協定が 2020 年から本格 的に運用されることになりひと安心です。

田上賢一:パリ協定からの米国の離脱は、自国の利益優先が目的で、地球を守ろうと各国が化石燃料からの離脱に進む中、水を差す行為だと思います。日本国内では、九州電力が再エネ出力抑制をし始めるなど、本末転倒でありもう少し広い視野で判断してもらいたいものです。

吉田治典:約25 年前、京大の建築学科で、地球環境と都市環境をテーマとする授業を始めました。当時、建築学科でこのテーマを扱う講義は日本ではめずらしかったと思います。その授業では、1965 年頃に最大の社会問題であった公害問題は法律で裁き、1973 年に始まったエネルギー危機は経済問題として処理したが、いま起こりつつある地球環境問題は倫理問題として処理することになるだろうと学生に教えていました。実はこれはドイツ・ブッパタール派の研究者の主張を受け売りしていたのですが、教えながら、本当に人は倫理で行動することができるのだろうかと自問していました。しかし最近ようやくESG 投資が機能し始め、金儲けの世界に倫理感が入り込むことが現実となりました。資本主義の社会化と捉えていいのでしょう。しかし、情けないことに日本はESG 投資に疎く後手に回っています。地球環境問題から後退しパリ協定などどこ吹く風の日本に将来の危うさを感じます。

柳原隆司:COP21 ではCO2 排出量削減のため需要端における電化の推進とその電気を再生可能エネルギーで賄うことが必要であるとの方針が示されているのに、福島第一原子力発電所の事故や電力・ガス自由化によりその大方針がないがしろにされているように感じます。ここは原点に戻り、省エネルギーと人類が発見して造り得た最高のエネルギーである電気の有効利用を積極的に推進すべきだと思います。

司会:地球温暖化の影響かどうかはわかりませんが、日本では、1 月には北陸で大雪、6・7 月の九州・中国の大雨、7 月には各地で40 度を越す連日の酷暑があり、9 月には大阪で台風の被害がありました。これらの異常気象は、日本だけでなく世界中で起こっています。これだけ度々起こると、もはや異常気象では無いという人もいます。

吉田新一:異常気象とは30 年に1 回程度出現する現象を言うそうですが、こう度々となると対策が大変です。北海道地震では大規模ブラックアウトが起こって、北海道全体が停電するという最大の停電が起きました。

大石晶彦:昨年夏の西日本豪雨で、実家のある高知県の山間部の道で山崩れが多数発生し、半年たった今でも全面復旧されていません。子供のころも大雨は降っていたのですが、最近の雨の降り方は異常です。やはり、地球温暖化が大きな要因のように思います。

三浦克弘:これだけ異常気象が続くと、我々が考える「平年」とは何なのかわからなくなります。コミッショニングで竣工後1 年間の機能性能試験を行って建物の基本的な性能を確認するのが難しく、シミュレーションなどで補足を行う必要が出てくると予想します。Cx チームに求められる技量、能力がますます高くなるのではないでしょうか

【会告1】第15期通常総会 を5月27日(月)に開催します。

 NPO法人建築設備コミッショニング協会の第15期通常総会と講演会および技 術交流会を下記の通り開催いたしますので、ご案内申し上げます。総会の詳細 と講演会の内容については、決定次第ホームページで公開いたしますので、し ばらくお待ちください。 なお、総会後の講演会及び技術交流会につきましては、正会員以外の皆様に もご参加頂けます。 ご多忙中とは存じますが、ぜひご来場賜りますようお願 い申し上げます。

 

日 時 2019年5月27日(月)13:30~(受付13:00~)

場 所 中央大学 駿河台記念館 (予定) 東京都千代田区神田駿河台3-11-5 (TEL:03-3929-3111)

 

◆ プログラム

総会 13:30~14:30  受付開始 13:00 ~

講演会 15:00~16:45

講演1 柳井 崇 氏 (株式会社日本設計 常務執行役員)

講演2 石井 英雄 氏 (早稲田大学 教授)

技術交流会 17:00~19:00 会場 同記念館 1階

会費 5000円(予定) *技術交流会は、

賛助会員 各法人1名 を無料とし、賛助会員会を兼ねます。

注)上記の内容は、今後変更となる場合があります

 

 問い合わせ先 NPO 法人建築設備コミッショニング協会

建築コミッショニングお問い合わせページ

開催会場

 

 

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